マルコ・パンターニの名前は、ロードバイクにハマってきてレースや選手にもちょっと興味が出てくると割とすぐに覚えることになる、それくらい有名な選手です。
パンターニはヒルクライムが滅法強い選手で、平地だったら並みの選手なのに登りになったらぐんぐんと順位を上げていく山岳ステージのスペシャリストでした。スキンヘッドにピアスにバンダナという風貌から、「海賊」という愛称で呼ばれており、イタリアでは今でもとても人気のあるサイクリストです。
この「パンターニ~海賊と呼ばれたサイクリスト~」という映画は、そんなパンターニの栄光の時代と、そこから薬物疑惑が出てホテルでオーバードラッグで死んでしまうまでを描いたドキュメンタリー映画です。
映画としてはちょっと見にくい記録映画
この映画はドキュメンタリー(記録映画)なので、どこかで盛り上げてやろうとか見せ場を作ろう、というようなことはしていません。ただ淡々と昔のレースやニュースなどの映像と、選手や家族などのパンターニ周辺の人間からのインタビューを繋げています。
パンターニは自転車選手として非常に人気が高くまさしくスターだったわけですが、薬物疑惑により徐々に自転車界から姿を消していき、執拗なマスコミからの取材などで精神を病んでいき、最終的にコカインの過剰摂取が原因で34歳という若さにも関わらず孤独死のような形で亡くなってしまいます。
しかしながら、レースの際の薬物使用もその時代には合法ともまではいかないまでも、禁止薬物リストに入っていない薬物の使用だったようで、明確な違反行為ということではなかったようですし(というかけっこうみんなやってたっぽい)、マスコミの取材などで鬱状態になっていってからは、自分の財産はほとんど家族に管理されていたようで、それは財産を家族にむしり取られたように書かれていたりすることもあります。
私はこの映画を観るまでは、パンターニは禁止薬物でロードバイク界から姿を消すことになり、それが元で麻薬中毒になって死んだと思っていたんですが、細かいところを調べていくとかなり話が変わってくるように思います。なんなら最後のコカインのオーバードースでの死も、近年では他殺の可能性があるとかで再捜査になっているようですしね。
なので、この映画ではあまり憶測で面白くしていない感じはしましたね。仕方ないところではあるんですが、観る分には少し面白みにかける作品かもしれません。
それでもパンターニという偉大なヒルクライマーの人生を少しだけでも知ることができるので、全てのサイクリストは観ておいて損はないんではないでしょうか。
余談ですが、パンターニは六甲山レベルの山(平均勾配7.8度)を平均時速25㎞で登っていたそうですね。ほとんど私の巡航スピードなんですけど・・・怪物やで。。
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